全体的な傾向なのですが、個人の実印に比べて法人の実印の方が偽造されやすい傾向があります。
法人の実印は、多くの場合「外周部に沿った円形に社名」が、「内円の内側に”代表取締役印”等の文字」が入る構造になっています。
印章(印鑑)の大きさに比べて彫り込む文字の量が多く、線が細かくなるので、個人の印章(印鑑)に比べれば構成が複雑で、偽造されにくくなります。
にもかかわらず、実際には個人の実印の印影よりも法人の実印の印影の方が偽造されやすい傾向があります。
これは「印影を偽造した時に得られるメリットが大きい」ことと、「偽造印影の見本となる実印印影が入手しやすい」為です。
これに加えるなら、「法人の偽造印影を利用する契約書等の書類は手書き部分がほぼないので偽造しやすい」という点も挙げられます。
最初の点は、契約等で動く金額が個人と法人では大きく違うことが原因です。
もっとも、こればかりは警戒しても仕方がありません。
次の「見本となる印影」が重要でしょう。
例えば、契約前に覚書や別の書類を交わす、あるいは別案件で契約を交わすと言った場合、実印の押印された書類と印鑑登録証明書が相手方にそろって渡ります。
この契約書等の実印印影や印鑑登録証明書のコピーが偽造印影の見本として利用されます。
つまり「見本になる印影が入手しやすい」のです
実物の印影や印鑑登録証明書を利用して偽造印影を作りますので、その形状は極めて酷似したものになります。
通常ではなかなか判別がつきません。
そのため、時には偽造された書類が誰か内部の人間の関与のもとに作成されたのではないかと疑心暗鬼になって、印影鑑定のご相談に来る方もいらっしゃいます。
こういった偽造印影を見破るには、通常の鑑定に関する知識だけでなく、コンピューターや工作機械、印刷技術等の多岐にわたる分野の知識が必要となります。
ですので、印影鑑定を得意としている鑑定所や研究所は極めて少ないのが現状です。
当研究所は偽造印影だけでなく、偽造印鑑(印章)による押印等も含め、印影鑑定を得意分野としております。
平均年齢60代半ばの鑑定業界のなかにあって、若く(それでも40代ですが)新技術にも精通したスタッフが鑑定いたします。
